京都美山町 [京都]
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京都美山町
高山寺の和尚が煎れてくれた茶をすすり、杉坂から国鉄バスに乗ったのは秋の陽が少し傾きかけた時刻だった。京北町を過ぎいくつかの峠を越えて美山町に着く頃には、あたりに夕闇が迫り紅葉した山の端が朱く染まっていた。かやぶき屋根の民家が並ぶ北村の集落では早くも明かりが灯り、農作業帰りのお百姓が荷車を引く牛の手綱を取り、後ろに麦わら帽子の子供が一人ちょこんと乗っていて、以前にライフ誌で見た東南アジアののどかな田園風景の写真に重なった。ナパーム弾の炎に逃げまどう彼らを思うと怒りがこみ上げてきたが、帰りのバスの時刻も気になったので再び周山街道へ出た