但馬出石 [イラスト]
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但馬出石
禁門の変を辛くも切り抜けた小五郎は、幕吏の追求を逃れ但馬出石に身を隠した。潜伏は、功山寺挙兵で長州藩の実権を握った高杉晋作と村田蔵六の要請に応えて幾松が迎えに来るまで続いた。桂小五郎33歳の春のことである。
出石は、白い肌が美しい出石焼と蕎麦が名物の但馬の小京都と呼ばれる城下町で、豊かな自然に囲まれ江戸時代から続く町並みが今も残り、小五郎と幾松が遊んだ城崎温泉にも近い。折りしも神社へ向かう花嫁の列に遭遇、褄とる手は違っても幾松もかくありなんと思うような美しい花嫁に目を奪われた。
維新を迎えると小五郎は革命家らしい理想に燃え、四民平等、憲法制定、三権分立、軍人閣僚の禁止など矢継ぎ早に民主的な建言をするが、守旧派貴族や薩長保守派らによってことごとく骨抜きにされ、「こういう政府を創るために我々は癸丑以来粉骨したわけではない、死んだ同志が地下で泣いている」と嘆いたという。早すぎた死が惜しまれる。