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余部鉄橋を渡る特急まつかぜ [イラスト]


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余部鉄橋を渡る特急まつかぜ

 但馬は端午の節句を旧暦で祝う。初夏の風に泳ぐ鯉のぼりを眼下に見て、優美なキハ82が牽く特急まつかぜが轟音とともに余部鉄橋を駆け抜けてゆく。この橋の完成以前、山陰の住民は境港から舞鶴まで船に乗り、そこから鉄道で京都や大阪に出なければならなかった。技術も材料もない中で先人たちは、欧米に学び鋼材を輸入し設計から5年の歳月を費やして1912年、明治45年にようやくこの橋を完成した。その後多くの鳶職、塗装工、保線員らのたゆまぬ努力がこの橋を100年にわたって支えた。この橋はいわば近代日本の歴史であり文化であった。保守の手間と維持費用を惜しみ、効率優先の考え方によって2010年にこの橋を解体したのは文化不毛の愚かな行為といわねばならない。

 



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